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ロックの使者ボブ・グルーエン
(僕とシーナのボブとの出会いと付き合い)
鮎川誠

先日、ボブ・グルーエンから久しぶりにメールがあって、読むと、明後日、12月8日、ジョンの命日にYoko Onoの武道館のジョン・レノンのイベントで来日するとの知らせだった。その日は、僕らは恒例のニューイヤーロックフェスの告知で、内田裕也、ジョー山中や出演する仲間とともに英国大使館前でデモンストレーション&取材の予定が入っていたので、途中で仕事前のボブと合流することにした。
ボブと会うのは5年ぶり、お互いぜんぜん変わってないね、と再会を喜び合った。ジョンのイベントに合わせてチョイスした、背中に「IMAGINE PEACE」の刺繍がはいったブルーのジャケットが相変わらずのボブのセンスのよさだ。5年前にアイスランドで行われた「イマジン・ピース・タワー」の式典にあわせて作ったのだそうだ。 すぐにトゥルーマン・カポーティの三原君のツイッターに速攻でレポートがのった。嬉しかったのはボブが「レジェンド・カメラマン」と紹介されていたこと(当然ではあるが)。そして「IMAGINE PEACE」を見逃さず写真が掲載されていたこと。
5年前にも一緒に行った三軒茶屋のすし+沖縄料理屋でうみぶどう、しまらっきょう、チャンプル、泡盛+すしで楽しく盛り上がった。さすが日本通のボブはマニアックな料理をよく知っている。

シーナ&ロケッツとボブ・グルーエンが出会ったのはさかのぼること、1979年の大森のスタジオ、フランスのロック雑誌の取材を受けたとき、同行していたのが初めての出会いだった。僕らは大いにその名前だけは知っていた。ジョン、ボブ・ディランやストーンズやフー、ツェッペリンやアイク&ティナ、ニューヨークドールズなどの写真をたくさん見ていてすごいカメラマンという認識があった。だから、あなたがそうなんだ!すげー!!信じられない、まさかあなたに会えるなんて!という、最高に敬意と親愛を示したのはロック・ファンとして当然だったが、なゼここに?こんな普通の練習スタジオにきてくれたの?とポカンとつままれたような感じがおもしろかった。聞くと、ボブは東京が好きになってしばらく住んでいる、というのだ。曰く、いまTokyoは最高のロックシティだ、ニューヨークより、ロンドン、パリより、ここにいれば毎晩世界の最高のロックバンドが集まってくるので、俺の仕事も効率よくやれるんだ、ということだった。以来、ぼくらは意気投合してよく待ち合わせていろんな場所へ行った。ボブはシーナ&ロケッツの写真や映像をいつもたくさん撮ってくれた。

あるとき、プライベートJETでツアー中のザ・クラッシュの面々が機内で真剣な顔つきでTVを見ている写真を見せてくれたことがあったが、ボブが彼らが見ているのは俺が撮ったシーナ&ロケッツだぜ!といったときにはとびあがるほど嬉しかった。ボブは写真がいいのは当然のところだが、いつもそのときの話がまたすごくて面白い。たとえば、恍惚のチャックベリーの写真、警備員に連れ出されながら手を伸ばして撮った最後の一枚だった、とか、あとでチャックが気に入ってくれて本人がお金を払って買ってくれたのだそうだ。
ボブには「ハッピー・ハウス」のニューヨーク・レコーディングでは身内のように世話をしてくれたり、「ドリーム&リボルト」「RockOnBaby」でもジャケットを撮ってくれたり、ずっと今日まで大切でリスペクトしている友人だ。
ボブと知り合ってしばらくしたころシーナが「ボブはロックの使者よ」と言った。本当にボブは永遠のロックの使者だ。

今回ボブはその日の早朝帰る間際の深夜、ひとりでタクシーで我が家へやってきた。どうしても手渡したいものがある、といって一冊の本を持ってきてくれた。それは、タイトルが「ROCKERS」、3年前に出版したいわばボブのロックの集大成だ。彼が撮りはじめた60年代から今日までのロックの歴史だ。パラパラとめくるだけで多くの雑誌に掲載された有名な写真がたくさん見て取れる。また、見たことのない、エルビスやマイケルの写真もあるぞ、ラモーンズやブロンディ、ジョニー・サンダースなどとはいかにボブが親密な付き合いをしているかが伺える。そして!!、シーナ&ロケッツも一枚選んで掲載してくれていた。 本の中では小さい写真でごめん、しかもライブではなくプライベートな食卓の写真、でも展覧会では壁一面の大きな写真で展示したよ、と、言った。ボブ、ありがとう。この前の、「CBGB」の歴史本でも、ボブがとった1993のロケッツのライブ写真を掲載していただき胸がすくほど光栄だったけど、このロックの歴史の「ROCKERS」の中に自分たちが加えられるだけで最高なことだ、本当に名誉なことだ、そして僕らの目の前でロケット・ファミリーの名前を宛てて作者みずからサインをして手渡ししてくれた。この瞬間に一生の宝物になった。33年目を迎えたシーナ&ロケッツの輝かしい最高のストーリーが生まれた瞬間だった。ありがとう!ロックの使者、ボブ・グルーエン!ROCK ON 2!

http://www.bobgruen.com
Bob Gruen @FACEBOOK
http://rokkets.com/gruen/
http://rokkets.com/photoes/yoko@nyc/index.htm
Wilko Johnson @ Fujirock, Sheena & Makoto Jumped on Stage
Bo Diddley +Sheena & Makoto at Bob Gruen's Photo Of The Day!