Sheena & The Rokkets - rockjuke INDEX - ROCKJUKE#13 テキスト -

ジューク音楽塾#19 鮎川誠ロック塾第13章 (ROCKJUKE#13)
「JOINT JAM #3 鮎川誠x浦田賢一トーク・アンド・ライブ」
Theme; 70s HAKATA ROCK + S&R 40th Anniversary
Talk+LIVE; AYUKAWA+URATA KENICH + NARA = Rockin' 70s


2018年3月25日 7:00PM〜
ジュークジョイント(福岡、舞鶴)

講義・テキスト執筆 鮎川 誠
ゲスト 浦田賢一 & 奈良敏博

テキスト監修 松本康
主催 自由区倶楽部(CLUB JUKE)
協力 ロケットダクション
印刷 Juke's Printing System


---------------KONTENTS---------------------------------

【序章- 塾長・松本康の案内文】
 鮎川誠ロック塾第13章はもう誰に止められない、サンハウスのオリジナル・ドラマーである浦田賢一をむかえ、繰り広げられた鮎川誠ロック塾のライヴ編「JOINT JAM」の第3弾。『JOINT JAM #3』です。
 同時にシーナ&ザ・ロケッツの40周年記念祝福編も兼ねてます。アルファ時代とビクター時代の選び抜かれた新マスタリングの2種のベスト盤(各2枚組、40+1曲収録)の発売も記念して、それにまつわる数多いエピソードの一端を語ってもらいます。映像もあるかも。
 まだ参加したことのない人、是非参加を。いつからでも入れて楽しめる、親しみやすく興味深い鮎川誠の世界に貴方を誘(いざな)いたい !

【第一章】
いつもロック塾を受講していただき皆さんありがとう!
今回はロック塾第13章、前回に続き、浦田賢一とのトーク&ライブです。さらに今回はサンハウス・シナロケのベースマン、奈良敏博も参加してくれることになりました。最後までどうぞよろしくお願いします。

さて、今回のテーマは、シーナ&ロケッツ40周年とベスト盤のリリースの話題。そして、「 ROCKIN'70s」をテーマに70年代の博多ロック「SONHOUSE ROOTS」です。サンハウスの話題は毎度のロック塾で言ってることと重複しますが、そしてまた、70歳にもうすぐなる鮎川の今年のテーマとも重なるのですが、今日のトークは1971年ごろ、 活動し始めて間もないサンハウスが川端商店街のダンスホール(ロック喫茶)ヤングキラーで毎晩プレイしていた曲のオリジナルを集めたCD-Rをもとに話を進めます。(ちなみにこのCDは、浦田と奈良と今回の演奏曲を共有するためにパソコンで簡単に焼いたものです。)

まずは、1971年のその5年前、1966年には「ビートルズ」の来日、武道館からのライブの中継、これが日本中のロックの大きな転換期でした、というかスタートラインとなりました。武道館をきっかけに日本にも多くのロックバンドが、いわゆるGS(グループサウンズ)として誕生し、また日本全国津々浦々までプロ・アマのロックバンドが誕生しました。博多でも篠山哲雄率いる「ジ・アタック」や柴山俊之が在籍した「キース」、サンハウス初代ベースの浜田卓は。博多でNo.1といわれていた「ザ・バイキング」で、浦田賢一はダンスホール赤と黒の専属バンド「サンジェルマン」でドラムをたたいていました。俺は1966年8月、久留米・石橋文化センターでバンド・デビュー、翌年、かって荘島町にあったダンスホール「キング」でジ・アタックと出会いました。


(1971年5月 天神のJAZZ喫茶「COMBO」での自主コンサート)

70年代に入ったころ、ウッドストックの映画が上映され、映画を見た多くのロックファンは(俺もその一人だが、)40万人のロックコンサートを体験したような気になっていて、劇場型ロックの時代から、野外や学生会館などのフリーコンサートの時代の幕が開きました。ビートルズは解散していて、ジョンレノンはソロアルバム「ジョンの魂」をリリース、ローリングストーンズはレコードにチャックがついて開けると下にパンツまではいている、アンディウォーホールのカバーデザインによる「STICKY FINGERS」は、もちろん中身もご機嫌だったが、ほかは「テンイヤーズアフター」や、「スライ」や「ザ・フー」や「ジミヘン」などが話題で、レコード屋さんでは「ニューロック」という新語がうまれていた、「アートロック」とか。そして、俺たちはクラプトンやジェフベックやレッドゼッペリンからさらにピュアリティを感じる、ポールバターフィールドブルースバンド、キャンドヒート、ジョン・メイオール、フリートウッドマックなどのホワイトブルース(バンド)に興味が広がっていきました。
そして、「サンハウス」はブルースを腹いっぱいやってみたいという思いを持った博多のダンスホールの生き残りのバンドマンによって結成されました。俺たちは輸入盤や、やっとのことで発売され始めたばかりの本物の黒人ブルースからの選曲や先達から学んだアレンジに5人の知恵と情熱を注ぎ込みました。


(ダンスホール「ヤングキラー」に出演中のSONHOUSE P;1971)

【今回の教材@ Playlist files: SONHOUSE ROOTS】

1. Bring It On Home [LP] - Sonny Boy Williamson (2:33)
2. Got Love If You Want It - John Hammond (3:16)
3. Highway 61 - Fred McDowell (3:07)
4. Help Me [LP] - Sonny Boy Williamson (3:11)
5. All Your Love - Otis Rush (2:55)
6. Tell Me [Howlin' Wolf] -Ok Ken -05 - Chicken Shack (4:38)
7. I'm A Man -Five Live Yardbirds - Yardbirds (4:32)
8. Spoonful (LP Version) - Howlin' Wolf (2:46)
9. Like A Rolling Stone - Bob Dylan (6:09)
10. Shake Your Moneymaker - Fleetwood Mac (3:13)
11. THE BIG BOAT - EDDIE BOYD (2:35)
12. Dimples - John Lee Hooker (2:09)
13. Blues With A Feeling - Little Walter (3:05)
14. I Just Want To Make Love To Yo - Muddy Waters (2:52)
15. Rollin' & Tumblin' (remix) - Muddy Waters (3:00)
16. Got My Mojo Workin' (1960) - Muddy Waters (2:56)
17. Albatross[tcbhs3] - Fleetwood Mac (3:11)
18. Positively 4th Street - Bob Dylan (3:54)
19. Remington Ride -Ok Ken -08 - Chicken Shack (2:52)
20. Hoochie - Moby Grape (4:26)
21. Give Peace A Chance - John Lennon (4:53)
22. Key To The Highway (LP Version) - Little Walter (2:43)
23. Bye Bye Bird - Sonny Boy Williamson & The Yardbirds (3:35)



【教材A ;ブルースの歌詞を一緒に歌ってみよう (意訳;鮎川)】

Bring It on Home
サニー・ボーイ・ウィリアムソンII

Baby, baby
ベェィーベェー、ベェィーベェー
I'm gonna bring it on home to you
今からこれをもってお前のところへ帰ってるけんね
I done bought my ticket, I got my load
切符も買ったし、もう列車に乗り込んだ
Conductor done hollered, "All, aboard"
車掌さんが大声でおらんでる、発車しますばい!
Take my seat and ride way back
俺はシートに座って背もたれてくつろいでる
And watch this train move down the track
汽車が線路をゆっくり走りだすのを眺めてる

Baby, baby
ベェィーベェー、ベェィーベェー
I'm gonna bring it on home to you
今からこれをもってお前のところへ帰ってるところ

I think about the good times I once have had
一度は手にした楽しい暮らしを思いだしながら
Soul got happy now, my heart got glad
今の気持ちはとてもハッピー、胸は踊ってる
I think about the way you love me too
どんな風に愛してくれるか考えるだけでたまらん
You can bet your life, I'm comin home to you
今度こそは間違いないぜ、お前のもとに帰るから

I'm goin home
帰りよるよ
I'm gonna bring it on home, now
これをもって帰りよるよ

I'm gonna bring it on home, now
I'm gonna bring it on home, now

Gonna bring it on home
さー今からお前のもとに
Bring it on home to you
これも一緒にもって帰ろう

I've Got Love If You Want It
Slim Harpo

I Got love if you want it, babe
欲しいなら愛してやるぜ、ベイブ
Got love if you want it, babe
欲しいなら愛してやるぜ、ベイブ
Got love if you want it
欲しいなら愛してやるぜ、ベイブ
I Got your love if you want it
俺のことが欲しいなら
Got love it you want it,
俺の愛をみせちゃろう、
We can rock, awhile
二人でしばらく体をゆらそう
We can rock, awhile
二人でしばらくロックしよう

Quit teasin' me, baby
俺をじらすのはやめてほしい
Quit teasin' me, baby
俺をじらさないでおくれ
With Your fine brown frame
その茶色の素晴らしい体で
Wit' yo' fine brown frame
その茶色の素晴らしい体格で
If you let me love you, baby
もしも俺にやらせてくれるなら
I'll be yo' lovin' man
もう俺はお前の恋人になるぜ
I'll be yo' lovin' man
もう俺はお前の愛人になるぜ

Now, here you come, baby
おっと、お前がこっちにやってきた
Now, here you come, baby
あらー、お前がこっちにやってきた
With Your head hung down
なんか頭を垂れて
With Your head hung down
神妙な感じはどーしたのやろ
I know ya been ballin'
あちこちでやりたい放題やって
Talks all over town
すっかり知れ渡ってるぜ
Talks all over town
町中に知れ渡ってるぜ

I love you, little woman
お前が好きなんだ
I love you, little woman
本当にお前のこと愛してる
Better than, I do myself
おれ自身よりももっと
Better than, I do myself
お前にすべて捧げるよ
But you mistreat me, baby
だけどお前は俺につれない扱い
For somebody else
よその男のほうがいいのさ
For somebody else
よその男のほうが

Got love if you want it, babe
Got love if you want it, babe
Got love if you want it
I Got your love if you want it
Got love it you want it,
We can rock, awhile
We can rock, awhile

61 Highway
Fred Mcdowell

Lord, that 61 Highway is the longest road I know
神様、ハイウェイ61号線は俺が知ってる中で一番長い道さ
Lord, that 61 Highway may be the longest road I know
神様、61号線は俺が知ってる中で一番長い道さ
She run from New York City, down the Gulf of Mexico
そいつはニューヨークからメキシコ湾まで続いてる道。

Lord, it's some folks said them, Greyhound buses don't run
よう、神様、人が言うにはグレイハウンドバスが走ってないって
Lord, it's some folks said them, Greyhound buses don't run
どうも、グレイハウンドバスが走ってないっていう話だね
Just go to West Memphis, baby, Look down Highway 61
ウエストメンフィスに行って。ハイウェイ61を眺めて確かめよう

I said, "Please, please see somebody for me"
ねえ誰か、俺の代わりにあの子を見てきてくれないか
I said, "Please, please see somebody for me"
ねえ誰か、俺の代わりにあの子に会いに行ってくれないか
If you see my baby, tell her she's alright with me 
俺のあの子がいたら俺は元気だからと伝えてほしい

I started school one Monday mornin', Lord, I throwed my books away
ある朝、俺は学校で教科書を放り投げて
I started school one Monday mornin', baby, I throwed my books away
教科書を投げ捨てて、学校におさらばしたのさ
I wrote a note to my teacher, Lord, I'm gonna try 61 today
先生に手紙を書いたよ、今日から61ハイウェイに通うことにするってね。

ORIGINAL RECORDING;
61 Highway Blues (Fred McDowell)
Mississippi Fred McDowell
Fred McDowell - vocal and guitar
Recorded Sept. 22, 1959, Como Mississippi
Album: Fred McDowell The First Recordings
Rounder CD 1718

SONNY BOY WILLIAMSON II
Help Me
(Willie Dixon / Sonny Boy Williamson II (Rice Miller))

You got to help me
お前に助けてほしいよ
I can't do it all by myself
俺一人ではやれないよ
You got to help me, baby
お前の助けがなけりゃ
I can't do it all by myself
俺一人ではなんもできないよ
You know if you don't help me darling
お前が俺を助けられないのなら
I'll have to find myself somebody else
誰かほかに代わりを見つけんといかんたい

I may have to wash
流しで洗いものはやれるさ
I may have to sew
繕いものならやるさ
I may have to cook
料理ぐらいならね
I might mop the floor
モップでフロア磨きはできるやろ
But you help me babe
でも君の助けがないと
You know if you don't help me darling
それでもダメっていうのなら
I'll find myself somebody else
他のやつを見つけないとね

When I walk, walk with me
歩くときも一緒に歩いてほしい
When I talk, you talk to me
おしゃべりするときは相手になってくれ
Oh baby, I can't do it all by myself
オーベイビー、一人ではわびしいものさ
You know if you don't help me darling
君の助けが得られなけりゃ
I'll have to find myself somebody else
誰かほかのやつがやってくれるわけがない
Help me, help me darlin'
俺はお前に助けてほしい

Bring my nightshirt
夜はパジャマを持って来てくれ
Put on your morning gown
朝のガウンをかけておくれ
Bring Me my nightshirt
夜はナイトシャツを
Put on your morning gown
朝にはガウンをはおらせて
Darlin I know we stripped bare
ダーリン、俺たちの仲はもうおしまいか
But I don't feel like lying down
だけど俺は寝こむ気にはなれんたい

All Your Love
オーティス・ラッシュ

All your love I miss loving,
お前のすべての愛が恋しい
all your kiss I miss kissing
お前のすべてのキッスが欲しい
All your love I miss loving,
お前の愛が全部欲しい
all your kiss I miss kissing
お前のキッスが恋しくてたまらない
Before I met you, baby,
お前に出会う前には
I didn't know what I was missing
こんな気持ちはわからなかった

All my love, pretty baby,
かわいいお前に俺の愛を全部
I have in store for you
全部お前のために使いたい
All my love, pretty baby,
俺のすべての愛はかわいいお前に
I have in store for you
しっかりため込んでる
Well I love you, baby,
俺も好きなら
I know you love me too
君だってそうだよね

Oh, oh, oh, baby,
オゥ、オゥオゥ ベイビー
I'm so Glad to Find love you
君に出会えてうれしいぜ
Yeah, yeah, yeah, baby,
イェーイェーイェー ベイビー
I'm so Glad to Find you
君を見つけて最高さ
I love you baby,
愛してるよ
How Much You'll Never Know
どれだけ愛してるのか君はなんも知らない

【資料B ;鮎川誠最新インタビュー@YAHOO!ニュース】

シーナ&ロケッツ40周年のお祝い企画で2月にはSONY(ALFA)から、3月にはVICTORレコードから2枚組ベスト盤が発売され、これに合わせてヤフーニュースに鮎川のインタビューが掲載されました。そして嬉しいことに、すごいことにこの記事はヤフー全体の「アクセスランキング」で数日間にわたり第一位を獲得しました。

お時間のあるときに読んでいただければ嬉しいです。
原文ソース (https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakahisakatsu/20180302-00082247/)

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シーナ&ロケッツ40周年 鮎川誠が語るシーナとロック
「自分達が音楽やりおるのはシーナのおかげ」


田中久勝 | 音楽&エンタメアナリスト
3/2(金) 12:01

(Photo /島田香)

「ロックは生き様の事っちいうか」

シーナ&ロケッツ40周年、ソニーとビクターから鮎川誠選曲・監修のベスト盤が発売
『ゴールデン☆ベスト シーナ&ロケッツ EARLY ROKKETS 40+1』(2月28日発売)
『ゴールデン☆ベスト シーナ&ロケッツ VICTOR ROKKETS 40+1』(3月28日発売)

シーナ&ロケッツ(以下シナロケ)がデビュー40周年を迎えた。同バンドは、ギタリスト鮎川誠と、妻でボーカルのシーナにより結成され、1978年にシングル「涙のハイウェイ」でデビュー。その後アルファレコードに移籍し、1979年に発売したシングル「ユー・メイ・ドリーム」のヒットにより、一躍その名前は全国区になった。ボーカルのシーナは残念ながら2015年2月14日にこの世を去ってしまったが、シナロケは精力的に活動を行っている。そんな記念すべき40周年に、素晴らしい作品が届けられた。鮎川が選曲・監修をしたベストコレクション『ゴールデン☆ベスト シーナ&ロケッツ EARLY ROKKETS 40+1』が、2月28日に発売された。タイトル通り、初期アルファ時代の彼らの魅力がタップリ詰まった40+1曲だ。さらに3月28日にはビクター時代から同じく鮎川が選曲・監修した『ゴールデン☆ベスト シーナ&ロケッツ VICTOR ROKKETS 40+1』もリリースされる。

シーナの3回目の命日の前日、鮎川がいつも取材場所として使用している下北沢の老舗喫茶店で、「今も一緒にライヴをやっている」というシーナとの思い出、結成秘話、あの名曲が誕生するまでのいきさつ、そして現在の音楽、音楽シーンに思う事まで、タップリと語ってもらった。

「自分達が音楽やりおるのは、シーナのおかげやからね」

「自分たちが音楽やりおるのは、シーナのおかげやからね。シーナとこんなに長くやるとは思わなかったんですけどね、最初は。でも聴き直すと本当にもうロックの発想が違う歌手やったなと、客観的に見るとね。一緒に東京で曲を作って、レコードを出し始めて、色んな自分たちの大好きなロックやブルースの要素を入れ込んで、それで普通だと思いよったけど、シーナがいなくなって同じ曲をやったり、色んな方とその曲を演ったりすると、自分で言うのも何だけど、こんなにすごい細かいところまで気遣って、音楽を作ってたんだなと気づきました。だからシナロケにシーナがいないけど、シーナとロケッツっていうバックバンドじゃない、4人で作ったバンドで、ひとりメンバーが病気でこの世を去ったけども、同じバンドをやってるっていう事」。
30歳で上京〜デビュー。「俺は年季を武器にやっていこうと思った。20代は音楽とたっぷり向き合ったから、30代で東京に出てきた時は、新しい音を出してる、新しいロックバンド、という気持ちが強かった」

鮎川は1970年から78年まで、福岡・博多を拠点にサンハウスという、ローリング・ストーンズ、ブルースといったルーツ・ロックを色濃く感じさせてくれる人気ロックバンドの、リードギタリストとして活躍していた。その一番のファンであり、応援団だったのがシーナだ。二人は結婚し、サンハウスの大ファンでもあったシーナの父親の後押しもあり、東京で“勝負”することを決意する。1978年3月の事だ。「僕たちは70年代の終わりに、自分たちがやるかやらんか、やれるかやれんかっていう瀬戸際まで来た時、本当に今しかできんことをやろうち思って、お上り気分で東京には来てないんですね。東京にいつ吹き飛ばされるかわからんみたいな俺たち二人に、親父の「精一杯やってこいよ」という言葉に、ものすごい励まされた。俺、その時30になりよったから、そんな時に「やるかやらんかハッキリせえ」って言われた親父の言葉が本当にありがたかったです」。

30歳でのメジャーデビューと聞くと、遅いと感じるかもしれないが、鮎川の場合は満を持して、という言葉がしっくりくる。ルーツ・ミュージックへの豊富な音楽知識とロックへの哲学、そして経験、その濃密なキャリアがこの40年続くバンドの大きな柱になっている。「年季は入ってると思ってた。年季が入っとるよりも、初々しい方がみんな好きっちゅうことはわかるけど、俺は年季を武器にやっていこうと思って。ブルースが大好きで、俺の生きてきた時間のほとんど、手にしたお金のほとんどは音楽につぎ込んで、朝から晩まで音楽好きな仲間と福岡で音楽聴いて、情報交換したり、洋書屋やらに行ってブルースの本を見つけて買ったりして。20代は音楽とたっぷり向き合って来たから、東京に出て来た時に、新しい音を出してる新しいロックバンドやけんお見知り置きを、みたいな気持ちが強かった」。

「私も自分の歌ったレコードを、自分で聴いてみたい」というシーナの言葉から、全てが始まった

鮎川とシーナはいつも一緒にいた。そして家族の事をインタビューなどでも包み隠さず話をしていた。夫婦だから当たり前かもしれないが、当時そんなロックバンド、アーティストは少なかった。そういう意味でもシーナ&ロケッツの登場、醸し出す空気は、日本のロックシーンを変えたといってもいい。「一人で色んなところに行くと、『あれシーナは?』って言われるし、シーナも一人で他の仕事行くと『今日は鮎川さんは?』て。本当にそれはありがたいことだね、いつも一緒ちゅう。でも九州のもんは、女は隅に引っ込んどけみたいな風土があるんですよ、男はえらい、男をたてるのが女の本分だみたいな。それはすごいわかるし、最初は男と女が一緒にどっちも表に出るっていうのは、やっぱり嫌な雰囲気ちゅうのは、俺自身が強く感じてた。だから俺から奥さんに「君歌わないか?」とか「俺と一緒にロックバンドやろうぜ」とは、多分言わなかったと思うんです。当然俺がロックするのは当たり前だし、シーナは俺のロックを好いてくれて俺のファンでいてくれて、一緒にやるなんて夢にも思ってなかったから。ただシーナがある日、「私も自分の歌ったレコードを、自分で聴いてみたい」って言った時に、そのひとことやったですね」。

「下手な4人が集まって、人一倍頑張ればなんとかユニークな音になる。それがバンドの特権」

シーナのこの言葉からシーナ&ロケッツが生まれた。「ずっと俺に優しくしてくれるシーナに、花ひとつ贈ったことない九州男が、レコードくらいなら作れるかもしれんなって思った」。本名の悦子から、シーナに生まれ変わった瞬間だった。そしてシーナ&ロケッツの始まりだった。ちなみにロケッツの表記は、鮎川のこだわりで「ROCKETS」ではなく「ROKKETS」である。「東京のミュージシャンは演奏も上手いんやけど、共有のビジョンを持ってるやつじゃないと。バンドっちゅうのは人一倍みんなが頑張って、やっと下手な4人が集まればなんとかユニークな音になるっちゅう、バンドの特権のようなもんってあるんですよね。だから本当に気心知れた、昔一緒にやってた仲間に手伝ってもらってシーナ&ロケッツは始まった」。奈良 敏博(B)、川嶋 一秀(Dr)を加えた4人で、1978年、エルヴィス・コステロのライヴの前座として登場し、鮮烈なデビューを飾った。

名曲「ユー・メイ・ドリーム」は「コピーでもイミテーションでもない、音楽家が高い見識で、色んな英知を結集させて、お手本がない音楽を作り上げた」


(1979年 PIX)

シナロケの運命を決定づけた、「ユー・メイ・ドリーム」という今も色褪せない代表曲が生まれたのは、高橋幸宏との出会いがきっかけだった。彼から細野晴臣を紹介され、鮎川がYMOのライヴにゲストギターとして出演。細野から「プロデュースしたいからアルファレコードに来ないか?」と誘われて、同社と契約した。「ユー・メイ・ドリーム」は鮎川と細野の共作だ。「細野さんのような音楽シーンを牽引してる人が、俺達に興味を持ってくれて、なおかつプロデュースしたいって言ってくれたお陰。それで細野さんがアレンジしてくれてできあがってきたのが、あまりにも素晴らしくて。壮大なコンピュータのオーケストラのリズムトラックが、ボーンって入ってて、でもこれは俺たち4人じゃとても再現できる音じゃないからっちゅう事で、細野さんに、「これは自分達の音だけの方がいいことない?」って一応言うたんですよ。細野さんもバンドの事をよくわかってるから。でもレコードは冒険しようみたいな。レコードでしかできない事があってもいいやんって。本当そうだねって、スーと腑に落ちて。ロックってそれぞれの人がロックに対しての美意識やら思い入れがあって、4人でやってきたバンドが、コンピュータが入ったレコードを出すのはけしからんっていうやつもおったり、色々反応はありました。でも俺達は、その時に今まで聴いた事ない音を聴いたと思って。コピーでもイミテーションでもない、音楽家がすごく高い見識で、色んな英知を結集させて、お手本がない音楽を作ってくれたんです」
「最近はロックは能書きじゃねえって思う。ロックは生き様のことっちいうか」

テクノとロックの出会いは「ロックンロールに魔法の粉をかけてくれたような」新しい音楽になり、若者が飛びついた。その後もシーナ&ロケッツは細野プロデュースで名盤『真空パック』を作り、また糸井重里作詞のシングルをリリースしたり、阿久悠全作詞によるアルバムを作ったり、その時代の空気を臆することなくどんどん取り入れ、自分達だけのロックを進化させていった。「八代亜紀の演歌をテレビで聴いて、グッときてシーナと2人でいいねってなって、この言葉を俺たちの好きなロックのサウンドに乗せたら、もっとすごいぜって。それでダメもとで聞いてみたら、バンドマンが歌いたい言うて、直接希望を伝えたちゅう事を阿久さんがすごく喜んでくれて、やっぱり阿久悠さん達からがロックの世代やからね。エルヴィス・プレスリーやらの音が生まれた頃に、ちょうど阿久さんは学生やったんやね。俺たちはストーンズやらビートルズ世代やけど」。阿久と共に作り上げたアルバムが『ROCK ON BABY』(1994年)だ。「最近はロックは能書きじゃねえって思う。前は能書きが好きだったんです、ロックらしい事とか、ロックはこういう事やっちゃいかんとか。でも何でも生きとる事がロックだみたいな事をこの頃思いよるから、ロックは生き様の事っちいうか」。
鮎川とシーナの半生を描いた福岡発地域ドラマ『You May Dream 〜ユーメイ ドリーム』(3月2日OA)は、「シナロケというバンドへの愛と、ロックンロールに満ちたドラマ」

そんなロックな生き方をしてきた鮎川とシーナの半生を描いた福岡発の地域ドラマ「You May Dream 〜ユーメイ ドリーム」が、3月2日にNHK福岡で放送される。シーナ(悦子)を石橋静河、鮎川誠を福山翔大が演じる、青春ドラマだ。「北九州・若松の若戸大橋や、高塔山、大好きな場所が舞台になってて、それを見ているだけでジーンときました。シナロケというバンドへの愛と、ロックンロールに満ちたドラマになっています。シナロケの事、音楽を思ってくれながら、みんなが演じてくれて、ファンの人はエキストラで協力してくれて、それをすごく喜んでくれて、そういう声を聞くだけで嬉しいし、みんながハッピーになれることだなって思って。それが僕にとっては嬉しい事ですね」。地域ドラマなので九州地区でしか観る事ができないが、是非全国放送して欲しい。
「とにかくロックが好きで、向上心と人間力のあるバンド、ミュージシャンに出て来て欲しい」

40年間ロックを奏で続けてきた鮎川の目に、現在の音楽シーン、アーティストはどう映っているのだろうか。「70年に入った頃からロックが全部変わったんですね、みんながロックを求めとったち、ロックがすごい勇気を与えてくれて。その後も新しいロックが起こったけど、今はそういうのが薄いと思うんです。MTVとネットはたまに見るんですけど、全体的に小粒ちゅうか、はい上手ですねで終わったりとか、人間力ちゅうか、人間まで伝わる前にそこまでいかんような感じ。なんかある意味商業主義の色が強い、でもそれがないと生き延びれんからね、バンドはね。音楽には、生い立ちも、年も、住んでる街も、そういうのは一切何も関係ないと思ってるんで、やっぱり一人のその思いが大事。とにかくロックが好きで、でもそれに見合った技術と戦い方、向上もせな音楽もできんし、聴きたい音、抑える音、出したいトーン、色んなものを模索せんといかん」。
「今は若い時のようにできん事はいっぱいある。でもロックのためにやってみたらやれる事もいっぱいある」

今年5月で70歳を迎える、40年間愚直にロックンロールを追い求めてきたミュージシャンの言葉は胸に響く。「俺たちも次のステージちゅうのがあるから、ものすごい日々それに備えて小さな怪我も注意するし、例えば棘が刺さったり、爪の皮が剥けただけで痛くてギター弾けんから、すごい大切に日々を過ごして、その日がある事を、喜びを持ちながら感謝しながら待ってる。俺達は若い時のようにできん事はいっぱいあるんです。でもロックのためにやってみたらやれる事もいっぱいあるんですよね、70でもね」。
ロック道を次代に伝えるべく、語る。「共有したいし、伝えたい。色々な音楽との出会いは頭だけで考えとる以上のハプニングがあったり、深く胸に刻まれたりする」
(Photo #7/島田香)

鮎川は自ら運営しているシナロケのオフィシャルサイト「ロケットウェブ」で、サンハウス時代にガリ版刷りでやっていた仲間と共に、地元福岡で不定期に開催している『鮎川ロック塾』という連載を、アーカイブとしても記録しながら、ロック道を次代へと説き、繋いでいる(『鮎川誠ロック塾』は次回は3月25日福岡JUKE JOINTで開催)。「共有したいっていう。伝えたいっちゅうのもあるね。これ知っとる?とかいうのもあるし。今はどんな音楽だって手に入って、聴ける時代だけど、逆に誰かひとりの選者が選んだ作品の方が説得力があったりするんですね。色んな音楽との出会いは色んな要素があるから、頭だけで考えとる以上のハプニングがあったり、深く胸に刻まれたりするから。音楽で集まれることはとても素晴らしいし、そんな仲間と楽しい時間を過ごせることが、この「ロック塾」もそうですけど、シナロケのライヴに来てよって。ロックは生だぜって。やっぱり生はその時だけ、消えますからね。でもライヴは楽しいです」。
4月7日"シーナの日"は、地元・下北沢で恒例の"シーナに捧げるロックンロールの夜"が開催される

亡くなる2か月前までステージに立ち続けたシーナは、生涯ロックシンガーを貫いた。鮎川はそんなシーナと共に今もステージに立ち続け、ロックを鳴らし続けている。今年ももうすぐ4月7日“シーナの日”がやってくる。恒例の“シーナに捧げるロックンロールの夜”が、地元・下北沢GARDENで行われる。スタート時間は18時47(シーナ)分。そして今年は、40周年ベスト盤のリリースにちなんで、40+1曲を披露する予定だ。

『OTONANO』シーナ&ロケッツ特設ページ (http://www.110107.com/s/oto/page/sheena_and_the_rokkets?ima=0422)

田中久勝 音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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【シーナ&ロケッツ ゴールデン☆ベスト資料】

ゴールデン☆ベスト シーナ&ロケッツ EARLY ROKKETS 40+1
GOLDEN☆BEST SHEENA&THE ROKKETS EARLY ROKKETS 40+1

品番:MHCL-30493-4
発売日:2018年2月28日

曲名 収録元
<Disc1>
1.YOU MAY DREAM
2.ベイビー・メイビー
3.オマエガホシイ
4.YOU REALLY GOT ME
5.レイジー・クレイジー・ブルース
6.ホット・ライン
7.マイ・ボーイフレンド
8.プロポーズ
9.キス・ミー・クイック
10.グッド・ラック
11.BATMAN THEME
12.I GOT YOU, I FEEL GOOD
13.ワンナイト・スタンド
14.サティスファクション
15.クレイジー・クール・キャット
16.ハートに火をつけて
17.たいくつな世界
18.STIFF LIPS
19.スネークマン
20.センチメンタル・フール
21.レモンティー (1981年絵画館前LIVE音源/BONUS TRACK)

<Disc2>
1.レモンティー
2.ピンナップ・ベイビー・ブルース
3.恋のムーンライトダンス
4.クライ クライ クライ
5.RADIO JUNK
6.スージーQ チャンネル・グー
7.浮かびのピーチガール
8.ボン・トン・ルーレ
9.ビューティフル
10.コワレモノ
11.ジュークボクサー
12.デッド・ギター
13.ブーン ブーン
14.アイ ラブ ユー
15.ワイ ワイ ワイ
16.ヘルプ・ミー
17.シャネルの5番のオン・ザ・ロック
18.ビールス カプセル
19.恋のダンス天国
20.オールド・ファッションド・ラブソング

SHEENA & THE ROKKETSがデビュー40周年を記念したベスト盤をソニーミュージックとビクターエンタテインメントからリリース。2月28日にソニーから「ゴールデン☆ベスト シーナ&ロケッツ EARLY ROKKETS 40+1」、3月28日にビクターから「ゴールデン☆ベスト シーナ&ロケッツ VICTOR ROKKETS 40+1」が発表される。

ゴールデン☆ベスト シーナ&ロケッツ EARLY ROKKETS 40+1
ゴールデン☆ベスト シーナ&ロケッツ VICTOR ROKKETS 40+1
ソニーからリリースのベスト盤には、初期のアルファレコード時代の楽曲を収録。一方のビクターのベスト盤には、1984年のビクター移籍後に所属したインビテーションと、現在の所属レーベルであるスピードスターレコーズより発表された作品の中から、鮎川誠(G, Vo)が選曲および監修した41曲がSHM-CDに収められる。なお、収録音源のリマスタリングは中村宗一郎が手がけた。

またタイトルの「40+1」にちなんで、2つのベスト盤を購入した人の中から抽選で41名に各タイトルのジャケット写真を両面に印刷したクッションをプレゼントする企画も行われる。[...音楽ナタリー1/25@〕



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Album Kollektion
ゴールデン☆ベスト シーナ&ロケッツ VICTOR ROKKETS 40+1
ゴールデン☆ベスト  シーナ&ロケッツ VICTOR ROKKETS 40+1
GOLDEN☆BEST SHEENA&THE ROKKETS VICTOR ROKKETS 40+1

品番:VICL-70238〜9
発売日:2018年3月28日
発売:ビクターエンタテインメント
曲名 収録元
<Disc1>
1.スイート・インスピレーション<SWEET INSPIRATION> NEW HIPPIES
2.プリティ・リトル・ボーイ<PRETTY LITTLE BOY> NEW HIPPIES
3.フリクション・ドライブ<FRICTION DRIVE> NEW HIPPIES
4.オー・ムーン<OH MOON> NEW HIPPIES
5.ノンノン人形<NON-NON DOLL> NEW HIPPIES
6.今夜はたっぷり<A MAIN LOVER> MAIN SONGS
7.モダン・ダンス<MODERN DANCE> MAIN SONGS
8.この道<THIS WAY> MAIN SONGS
9.レモン・ティー<LEMON TEA> (12" version) LEMON TEA(12"inch single)
10.エー・ビー・シー<A B C> GATHERED
11.ゲームス・フォー・ガールズ<GAMES FOR GIRLS> GATHERED
12.キャプテン・ギター・アンド・ベイビー・ロック<CAPTAIN GUITAR AND BABY ROCK> (LIVE version)
13.ユー・メイ・ドリーム<YOU MAY DREAM> (LIVE version) CAPTAIN GUITAR AND BABY ROCK
14.どうしても逢いたい<DOSHITEMO AITAI> #9
15.シュガー・フィンガー<SUGAR FINGER> #9
16.ハッピー・ハウス<HAPPY HOUSE> HAPPY HOUSE
17.ジェット・コースター<JET COASTER> HAPPY HOUSE
18.グローリー・オブ・ラブ<GLORY OF LOVE> HAPPY HOUSE
19.ポイズン<POISON> HAPPY HOUSE
20.ラフ・ネック・ブルース<ROUGH NECK BLUES> HAPPY HOUSE


<Disc2>
1.ジャングル・ジャングル<JUNGLE JUNGLE> DREAM + REVOLT
2.ドリーム・アンド・リボルト<DREAM + REVOLT> DREAM + REVOLT
3.エンジェル・アイズ<ANGEL EYES> DREAM + REVOLT
4.パーマネント・ハネムーン<PERMANENT HONEYMOON> DREAM + REVOLT
5.ファミリー・ダンシング<FAMILY DANCING> FAMILY DANCING
6.自由が欲しい<FREEDOM CHAIN> (HA!HA!HA!)HARD DRUG
7.(ハ!ハ!ハ!)ハード ドラッグ<(HA! HA! HA!)HARD DRUG> (HA!HA!HA!)HARD DRUG
8.キル・ミー・ベイビー<KILL ME BABY> (HA!HA!HA!)HARD DRUG
9.セクシー・ライダー<SEXY RIDER> (HA!HA!HA!)HARD DRUG
10.突然 雨が降ると<RAIN> ROCK ON BABY
11.ロックの好きなベイビー抱いて<ROCK ON BABY> ROCK ON BABY
12.ストリート・シンガー<KOKO> ROCK ON BABY
13.インターネット・キス<INTERNET KISS> アットハート(@HEART)
14.マコト・イズ・マイ・ラブ<MAKOTO IS MY LOVE(TOMORROW BEACH)> アットハート(@HEART)
15.ビューティフル<BEAUTIFUL> アットハート(@HEART)
16.ジャングル・オブ・ラブ<THE JUNGLE OF LOVE(You maybe King, but I'm the Wild Thing) ROCK THE ROCK
17.恋はノーノーノー<NO NO NO>(LIVE version) 爆音ミックス
18.ジャパニック<JAPANIC> JAPANIK
19.太陽のバカンス ROKKET RIDE
20.ロケット・ライド<ROKKET RIDE> ROKKET RIDE
21.海(COVER DEMO TRACK version / BONUS TRACK) ※未発表(CMソング)

SHEENA AND THE ROKKETS
VICTOR ROKKETS 40+1
GOLDEN☆BEST

ライナーノートより抜粋
interview & text:鳥井賀句
1978年にレコード・デヴューしたシーナ&ロケッツ(以下シナロケ)は79年から82年にかけてアルファ・レコードから3枚のオリジナル・スタジオ・アルバムと1枚のアメリカン・マーケット用アルバム、そして鮎川誠とシーナのそれぞれのソロ・アルバムをリリースし、79年のシングル曲<ユー・メイ・ドリーム>(本作ではDisk1-12にライヴ・ヴァージョンで収録)はJALのCMソングにも使われ大ヒットし、TVの歌番組にも出演し、その名前を全国的にアピールした。

中略

シーナはいつもレコーディングの最初からパッとアイディアを思いつきよるんよ。歌詞のできていない曲にはさらさらと歌詞を書いたり、ティンティンティン・・とメロディを口ずさんだりさ。原宿のスタジオに来るまでに街で聞こえた音とかをヒントにしたりとかさ。俺たちのレコーディングは殆どがスタジオ・ライヴみたいに同時に演奏して録るんよ。シーナも最初から本気で歌いよるし。マイクにノイズが入るとかエフェクターがどうのとかいうエンジニアもおるけど、俺たちはリトル・リチャードやレイ・チャールズやビートルズやストーンズも皆そうやったみたいに、同時にその場でせなロックにならんとよ。それがブルースの教えやし。アレンジャーやらプロデューサーやらが後から温度差の違う意見を言っても、もう昨日の音とは違ってるし。だから俺たちは『ROKKET RIDE』まで、一番基本的なやりかたでレコーディングしてきたんよ

中略

そして6年ぶりとなる2014年の通算17枚目のアルバム『ROKKET RIDE』はシーナ、鮎川誠、奈良敏博、川嶋一秀という最強の布陣での録音で全体に重厚で骨太な演奏とエモーションに包まれた、期待を裏切らない最高の出来のアルバムとなり、その発売と彼らの35周年を記念したワンマン・ライヴが日比谷野外大音楽堂で同年9月13日に開催され、筆者も会場にいたが、素晴らしくエキサイティングで楽しいライブであった。そのステージでは元気に歌っていたシーナだったが、実は既にガンの病魔に侵されていたのだった。そして翌2015年2月14日に、誰もが信じられないことだったが、享年61歳で天へと旅立ったのである。

俺たちもシーナはとんでもない奇跡を起こして回復できると信じてたんよ。本人も希望を持っとったと思う。野音のライブもキャンセルして病院のベッドで寝てれば、もう少し長く生きられたかもしれんけど、シーナは寝たきりになるよりも、病院を退院してステージで歌いたいと言いよったんよ。野音は頑張ったと思うね。俺も亡くなる直前まで奇跡が起こると思ってたのよ。もともと1978年にエルビス・コステロの前座に出て歌った時でも、それまで一度も人前で歌ったことなかったのに、コステロまで巻き込むようなロックなステージをやりきって見せたからね

鮎川氏のシーナへの思いと愛情は2016年に発売された『シーナの夢』(西日本新聞社)で赤裸々に語り尽くされている。未読の方は是非読んでみて欲しい。

そして素晴らしいのは、鮎川誠はシーナの死後も、バンド名をシーナ&ロケッツにしたまま、今も全国各地で夫婦で愛したロックン・ロールを歌い演奏し続けていることだ。それは単なる音楽を超えた鮎川誠の強い意志と生きざまの結晶であり、天国のシーナへの尽きることのない愛情と弔いであるのだと思う。

シーナ&ロケッツの物語はまだ終わったわけではない。シーナは天に召されても、彼女のセクシーでエモーショナルな歌声は、今もシーナ&ロケッツの全アルバムの中に生き続けているのだ。

このベスト盤に収められた素晴らしいロックの名曲の数々を聴いて、もういちどシナロケの唯一無二の存在感とかっこよさを再認識してもらいたい。そしてこのアルバムを手にして初めて彼らの魅力に開眼した人たちは、更なるロックン・ロールの世界へと歩を進めて行って欲しい。 (interview & text:鳥井賀句)


SHEENA & THE ROKKETS 40th Anniversary GOLDEN BEST ALBUM RELEASE!

シーナ&ロケッツ40周年、ソニーとビクターから鮎川誠選曲・監修のベスト盤が発売
『ゴールデン☆ベスト シーナ&ロケッツ EARLY ROKKETS 40+1』(2月28日発売)
『ゴールデン☆ベスト シーナ&ロケッツ VICTOR ROKKETS 40+1』(3月28日発売)



SHEENA & THE ROKKETS 40YEARS + SONHOUSE ROOTS
and AYUKAWA ROCKIN' 70s
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