パソコン、インターネット・ライフの上級者は、一度は通った道を涙とともに思い出し、今まさにパソコンと悪戦苦闘してる人は、おもいっきり大きくうなずける。そして何より、ホントは気になるくせに「パソコン嫌い」なんていってる、メンドくさがりやのブルース&ロック野郎(あ、そんな人はこのページ見てないか?)に、まずお薦めしたい本が登場! シーナ&ロケッツのギタリスト、鮎川誠のコンピューター・ライフは、あまりにも一直線、愛と情熱とロックンロールに溢れてます。
はじめに告白すると、わたしはパソコンに関しては、まだほんとに初心者。最初に触ったのがウィンドウズ3.1を搭載したIBMの旧型ノートパソコン。96年晩秋にMACが我家にやってきて、やっと「ネット波乗り」もできるようになった。それまで、同居人がホームページ作りに夢中になってるのを、横目で見て、ケッと思ってたクチ(半分うらやましかった!?)。
そんなわたしだから、鮎川さんが、「いんたーねっと」や「しーでぃーろむ」なる言葉を横目で眺めながら、ストーンズのライブやウィルコ・ジョンソンの影響でガツーンときてコンピュータを買ってしまうまでの話や、サインナップしてインターネットにアクセスするまでの本の前半部分に大ウケしてしまいました。鮎川さん、わたしも叫びましたよ、「そのディレクトリというのがなんのことか分からないのや、バカ野郎」って。しかし、サポートセンターに電話しまくって、「鮎川」って名乗ると、「はいはい」って担当の人が出てきてくれた、ってのには笑った。でも、ほんとマニュアル見るより、わかってる人に聞いた方が断然早いのよね。タイトルで分かる通り、まわりはみんなMACユーザー、っていう中で、あえてDOS/Vを選んだ鮎川さんのこだわりは詳しく本の中に書いてあるけど、孤軍奮闘しつつ、周りも巻き込んでいき、ホームページを立ち上げるに至る情熱はスゴい。
結局、コンピュータで何がしたいか、っていうことなのね。鮎川さんは「コンピュータでロックンロールする」ことを楽しんでる。以前とある女性誌のパソコン特集のなかに、ゲームとかじゃなくて、なるべく自分で何かを作ることをやったほうがパソコンの上達が早い、という耳の痛いくだりがあったけど、それとおんなじ。あーあ、わたしも、一度やりかけた既成の家計簿ソフトを改良して、つけてみようかな、新年だし。
さて、本の後半はやがてウィンドウズ95をインストールしてホームページを作っていく過程のかなり具体的な話がのっているので、これからやってみようという人には参考になるはず。おまけに刊末には自称「インターネット中毒者」の鮎川さんが集めまくった(笑)ホームページのリスティング(もちろん音楽関係中心)があり、これも嬉しい。ちなみにMACの方は、幻冬舎から同時刊行された山川健一氏の「マッキントッシュ・ハイ」でカヴァーされてるそうです。わたしはまだ未読なので、読んだ方いたら、ぜひブルース銀座までメール下さい。
最後にひとつ。何よりもこの本には鮎川さんの飾らない姿が出ていて、おもしろかった。パソコンの箱を自転車の後ろにくくりつけて持って帰ろうとする鮎川さんとか、「マユカウって誰?」とちょっと哀しそうな鮎川さんとか。時々「語り口調」になってる文章の合間から、好きなことには一直線(なにしろパソコンの前に3日間座ってた!?こともある)の人柄が垣間見えます。電子手帳を取り出す(笑)妹尾隆一郎さんをはじめ、日本&海外のアーティストが登場するので、パソコンに興味のない音楽好きも楽しめます。いや、そういう人にこそ読んでもらいたいかな。ホントおもしろかったんだから。
(97年初春・田中智子)
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