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鮎川誠(シーナ&ザ・ロケッツ)/ミュージシャン
毎回、注目のアーティストや気になる人物のインタビューをおとどけするこのコーナー。第1回目は、ミュージシャンの鮎川誠氏だ。1978年のデビュー以来、常にKeep It RoLLin'、シーナのキュートでパワフルなヴォーカルと鮎川誠のロック・スピリット溢れるギターを軸に、純度の高いゴリゴリのロックを追求し続けているシーナ&ザ・ロケッツ。その鮎川誠は、実は日本のミュージシャンの中でもいち早くインターネットの持つ可能性に気付き、自らホームページ「Rokket WEB」を設立、さらに97年には細野晴臣氏をプロデューサーに迎え、“アナログとデジナルのコラボレート”を具現化したアルバム、「@HEART」を発表。これは当時まだ数少なかったCD-EXTRA対応のアルバムであったことも話題となった作品である。昨年には初の写真集が発売されるなど、ますますロッカーとして円熟味を見せる鮎川誠。しかし、彼のロッカーとしてのイメージとコンピューターというイメージは、なかなかストレートには結びつかない。いったい彼がコンピューターに興味を持つきっかけとはいったい何だったんだろう?そしてロッカー・鮎川誠はコンピューターをどういうものとして捉えているのだろうか。
鮎川さんが、コンピューターに興味を持った初めのきっかけを教えてください。
実はもともと機械系は得意だったとか…?
「いや、全然(笑)。正直いって、こういったものは自分には一生縁がない、と思っていた。それが…あれは94年に、新聞かなにかで“ローリングストーンズがダラスでの公演をネットで全世界中継”という記事を読んで、これはいったい何のことか、と思って。で、いろいろ友人に聞いてみた。『ネットって何だ?』って。すると、その中にひとり詳しい奴がいて、『おそらくインターネットのことだ』と教えてくれた。で、ものすごく衝撃を受けて。世界同時にリアルタイムで発信できる、そんなものがあるのか、と」

それで、コンピューターを購入した。
「そう。自分で当時コンビニに並び始めたパソコン雑誌を調べて。で、当時ちょうどウインドウズ95が発売になった頃で。それでDOSを購入したんだ」


鮎川さんはマックじゃなく、ウインドウズユーザーなんですか?
「最初、すごく迷ったんだよね。ストーンズかビートルズかっていうぐらい迷った(笑)。僕にとって、ウインドウズというのはローリングストーンズなんだよね。ストーンズは根底にシカゴ・ブルースがあって、その土台がしっかりしてるよね。そこがウインドウズと共通しているように感じる。だから、僕はウインドウズを選んだんだけどね。今はIBM200、こっちは12G入ってる。あとは持ち運び用にgetaway2000を使用しているね」
初めてインターネットを使用したときの感想はどうでしたか?
「驚いた。まず、ギターを買おうと思ったら24時間いつでも何時でも発注できるし、どんなアーティストの情報も手に入るし。それで試しに“シーナ&ロケッツ”で検索してみたら、ひとつも引っ掛からんかった。それでまた衝撃を受けて(笑)。でも僕らだけじゃなく、友人の名前も片っぱしから入れてみたんだけど、みんな検索されなくて...。で、こんな便利なものがあるのになんでみんな使わないのか、と。これをロックと併せれたらもっと面白いことが出来る筈だ、と思って、それで独学でマニュアルを見ながらコンピュータの勉強を始めて、自分で『Rokket WEB』を立ち上げた」

いままでに、どんなソフトを購入しました?
「トランペットをWEB上で25ドルで買って。それからブラウザを、その頃はまだエクスプローラーも無くて、その中で一番クオリティの高かったのがモザイクだったんだけどね。ウインドウズのアプリケーションのページに行くと、物凄い数のブラウザがあって、オペラとか。ただダウンロードするだけなんだけど、音楽を聞くときの出会いの喜びにすごく近い…そのものかな。そんな感動があったね」

自分のホームページに関して、是非チェックしてほしい所はどこですか?
「やはり音を聞いて欲しいね。例えば、この間新作用に撮影したんだけど、その合間のビデオ映像とかも音と一緒にネット上で公開したりするし。」

鮎川さんはインターネットのどういった部分に惹かれますか?
「常にリアルタイムの姿を見せれる、インターネットのそういう部分に僕はロックとの共通点を感じる。だから立ち上げるまでに10秒とか、長くかかるのは好かんね」

ところで現在ニューアルバムを製作中という話ですが…
「もう録音は終わっていて、「ROCK THE ROCK」というタイトルで、8月に発売予定です」

前回は細野春臣さんのプロデュースでしたよね。
「そう。この“@ハート”は細野さんとアルバムを作ることが最大の目的だったから、こんな嬉しいことはなかったね。僕は細野さんがコンピューターをどう使うのか、それが見たくて見たくて…。細野さんは音の使い方がすごく上手くて、なおかつ冒険心に満ちた音作りをするんだよね。例えば、リトル・リチャードのバックを努めていたアル・パーマーというニューオーリンズのドラマーがいるんだけど、この人のドラムの音色をサンプリングして、それを自分のタイミングで叩くとか、遊びがものすごくおしゃれなんだよね。すごく新鮮で楽しかった。僕らは普段はせーの、で同時に出す音にスリルを感じるんだけどね」

今回は・・・。
「またせーの、に戻って。セルフ・プロデュースで。今回からドラムに初期のメンバーの川嶋が復帰しているんです。それで久々に彼とやってみて、また一緒に音を作る喜びを再確認した、というか。普段はけっこう無意識になっちゃっていたりするんだけど、嬉しいですね。また今回は阿久悠さんとかにも、歌詞を書いてもらったりして。それとね、今回はローリング・ストーンズとジョニー・サンダースのカバーが入っている」

えっ、どの曲なんですか?
「それはナイショ。皆さんで当ててみてください(笑)」

そして“Rokket WEB”の方も?
「遊びに来て下さい。映像も入っているし、ビデオは雑だけど音楽はバンバン入っている。それで興味を持ってライブに来てくれて、やっぱり生がサイコーやぜ、と。コンピューターにロックの手伝いは出来るけど、ロックは生じゃないと出来んから。日本にもこういう、本当のロックがあるんだぜ、と。僕のギターは息してるみたいなギ ターやし、シーナの歌もセンセイも誰もいない、オリジナルだから」

ウエブの更新もいまだに自分で?
「不定期だけど、でも日付を変えるだけでもそれは、自分がインターネットを見た印だから。俺が生きてる、今日も元気やというメッセージが基本だからね」

鮎川誠:
シーナ&ザ・ロケッツ・ギタリスト。1978年「涙のハイウエイ」でデビュー以来、そのrock'n roolスピリッツは多くのミュージシャンに影響を与えてきた。最近は、早朝の愛犬の散歩が日課になっているという。
待望のニューアルバム「ROCK THE ROCK」(¥3,045)が、ビクターエンターテインメントから8/9発売予定だ。


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