平成20年(2008年)4月4日(金曜日)
桂歌蔵のロッケン問答
死ぬまでバンドマン 30周年を迎えNEWアルバム発売へ鮎川誠(シーナ&ロケッツ) |
「日テレgo!go!」のCMでもおなじみのロックンローラー鮎川誠(59)。日テレは開局55周年だが、鮎川誠率いる「シーナ&ロケッツ」も結成30周年を迎えた。ニューアルバムのリリースを間近に控え、例年以上に気合い十分の鮎川アニキを直撃だ! |
スタンス変えず命掛けでやってきた
歌蔵:今回30周年記念CDが発売されることになりました。
鮎川:ベスト盤が続いたりしていて、なかなかオリジナルアルバムを出してなかったね。バンド活動以外はNHKドラマ「ちゅらさん」に出たり、最近は「ジャージの2人」という映画に出演させてもろうたりしてたけど。
歌蔵:ロッカーとしてのスタンスを変えずに、自由な活動をしているように感じます。
鮎川:そうね。シーナ&ロケッツがあるからね。シーナと一緒のバンドで俺はバンマス(リーダー)。これは変わらんね。俺のポリシーはこのバンドと死ぬまでやる、やね。
歌蔵:シーナさんは奥さん。バンドが本妻と作り上げる家族なら、セッションや役者活動は浮気みたいなもの?
マネージャー:マネージャーの立場で言わせてもらえば、鮎川さんの仕事は全部シーナと相談しれ決めてるんです。
鮎川:俺はバンドを最高のメンバーで選んどるわけやから、このバンドに命をかけてやってきた。他の(芸能)活動もロケッツ代表としてやっとる。
歌蔵:根っからのバンドマン?
鮎川:そうやね。
歌蔵:カバー曲も数多くこなしてきましたが、選ぶのもセンス?
鮎川:うん。フー、ストーンズ、アニマルズ、キンクスやらの影響を受けた。サム・クックみたいな歌はロッド・スチュワートがカバーしとるやろ。俺たちはギターが鳴るバンドサウンドからの影響が大きかった。ドクター・フィールグッドはニューオリンズの古いロカビリーを演奏してたやろ。ただもんじゃないと思うたし、俺たちもゴキゲンで謎めいた信号をリスナーに発信したいと思うわけよ。ロックのワクワクする部分をね。
レスポール最強
歌蔵:サンハウス(ロケッツの前に組んだバンド)はロケッツとはかなり雰囲気が違ってましたけど。
鮎川:サンハウスはグラムロックやらの影響も受けとったからね。けど、やっぱりブルースの影響は受けとったよ。あのバンドはキク(サンハウスのボーカル)のカラーも大きかった。当時はロックシーンもグニャグニャだったしね。
歌蔵:今のように画一化されていなかった。
鮎川:そう、俺たちもその雰囲気に近かった。
歌蔵:その当時から、今も愛用しているトレードマークのブラック・レスポールですか?
鮎川:サンハウス結成当時からやね。俺はギターがすごく好きで、人の買ったギターをよく観察していた。けど、レスポールは強力だとは思ってた。友達が買ったんで、これ幸いと貸してもらったりして。
進化やら進歩がすべてじゃない
歌蔵:今年のニューイヤーロックフェスで「シーナ&ロケッツは進化する事をやめた」と発言されてましたね。今まで鮎川さんは古くからインターネットを始めたり、常に新しい事にチャレンジしてきたように思えるんですけど。
鮎川:貴重な意見ありがとう。あれは・・・ちょっとウケを狙ったかな(笑)。
ロックは過去でもなきゃ未来でもない、今ここにあるということを言いたかったのかも。ただ、抽象的な部分では、何でも新しければいいという今に風潮はどうかなと思う。物かて修理して使う方が素敵やったりするやろ。映画館や銭湯がなくなったり商店街がさびれていったり。先が不安というか、凄く荒れた未来になってしまうっちゅうか。俺は進化やら進歩がすべてじゃない、と常々思うとるんですよ。
歌蔵:そういうことへの問いかけだったんですね。
鮎川:ちょっとそういう風に引っかかってもらうとうれしいね。ただ、ロケッツはたえず新しい、とんがった先を目指しているとは思っているよ。
歌蔵:だから今でも民放テレビ局のCMに起用されたりする。
鮎川:うん。俺もそういうのを面白がれる人間やからね。
俺たちしか出せない音を
歌蔵:記念CD「JAPANIK」は4月23日に発売。5月1日には恵比寿ザ・ガーデンホールでの記念ライブも決まりました。
鮎川:CDには今回ゲストを1人も呼んどらんのよ。今回ロケッツだけで作った。30年で初やね。制作途中で気づいて、そのままいっちゃえと。
歌蔵:30年を振り返ってみて、この業界、どう感じます。
鮎川:う〜ん、上京する前、シーナのオヤジに言われたんやけど、レコード会社を儲けさせんとあんたら食えんからね。自分の取り分ばっかりを会社に言ってもダメだと。それはずっと肝に銘じとるかな。
歌蔵:これからも40周年50周年の活動に期待してます。
鮎川:俺たちが出せる自慢の音、俺たちしか出せない音をこれからも出し続けていきたいね。
歌蔵:今日はありがとうございました。
鮎川:こちらこそありがとう。
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TEXT by まおらう (Hippy Happy House)